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五百は保が久しく帰らぬがために物を食わなくなったのである。五百は女子中では棠とうを愛し、男子中では保を愛した。さきに弘前に留守をしていて、保を東京に遣やったのは、意を決した上の事である。それゆえ能よく年余ねんよの久しきに堪えた。これに反して帰るべくして帰らざる保を日ごとに待つことは、五百の難かたんずる所であった。この時五百は六十八歳、保は二十七歳であった。
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