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「そう。しかし腹を立てても仕方がないでしょう。――しかし腹も立てようによるですな。昔し渡辺崋山わたなべかざんが松平侯の供先ともさきに粗忽そこつで突き当ってひどい目に逢あった事がある。崋山がその時の事を書いてね。――松平侯御横行――と云ってるですが。この御横行の三字が非常に面白いじゃないですか。尊たっとんで御おんの字をつけてるがその裏に立派な反抗心がある。気概がある。君も綱引御横行と日記にかくさ」
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