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(三) 意気―野暮は異性的特殊性の公共圏内における価値判断に基づいた対自性の区別である。もとよりその成立上の存在規定が異性的特殊性である限り、「いき」のうちには異性に対する措定そていが言表されている。しかし、「いき」が野暮と一対いっついの意味として強調している客観的内容は、対他性の強度または有無うむではなく、対自性に関する価値判断である。すなわち「いき」と野暮との対立にあっては、或る特殊な洗練の有無が断定されているのである。「いき」はさきにもいったように字通りの「意気」である。「気象」である。そうして「気象の精粋」の意味とともに、「世態人情に通暁すること」「異性的特殊社会のことに明るいこと」「垢抜あかぬけしていること」を意味してきている。野暮は「野夫やぶ」の音転であるという。すなわち通人粋客に対して、世態に通じない、人情を解しない野人やじん田夫でんぷの意である。それより惹ひいて、「鄙ひなびたこと」「垢抜のしていないこと」を意味するようになってきた。『春告鳥はるつげどり』のうちに「生質野夫やぼにて世間の事をすこしも知らず、青楼妓院せいろうぎいんは夢にも見たる事なし。されば通君子つうくんしの謗そしりすくなからず」という言葉がある。また『英対暖語えいたいだんご』のうちに「唄女はおりとかいふ意気なのでないと、お気には入らないと聞いて居ました。どうして私のやうな、おやしきの野暮な風で、お気には入りませんのサ」という言葉がある。
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