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と歌っていた。惟光これみつたちは悽惨せいさんなこの歌声に目をさましてから、いつか起き上がって訳もなくすすり泣きの声を立てていた。その人たちの心を源氏が思いやるのも悲しかった。自分一人のために、親兄弟も愛人もあって離れがたい故郷に別れて漂泊の人に彼らはなっているのであると思うと、自分の深い物思いに落ちたりしていることは、その上彼らを心細がらせることであろうと源氏は思って、昼間は皆といっしょに戯談じょうだんを言って旅愁を紛らそうとしたり、いろいろの紙を継がせて手習いをしたり、珍しい支那しなの綾あやなどに絵を描かいたりした。その絵を屏風びょうぶに貼はらせてみると非常におもしろかった。源氏は京にいたころ、風景を描くのに人の話した海陸の好風景を想像して描いたが、写生のできる今日になって描かれる絵は生き生きとした生命いのちがあって傑作が多かった。
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