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姉弟が別れてから九年経つ。宇乃は二十四、彼は十七歳になっていた。育った環境のためか、それともそういう年頃のせいか、久しぶりに会ったのに少しもうちとけず、いっしょに三日すごすあいだ、話しらしい話しもしなかった。尤もっとも彼には勤めがあるし、宇乃は日本橋の雁屋かりやに泊っていて、昼のうちしか会いに来られないから、ゆっくり話すだけの時間もなかったのであるが。――ただ一つだけ安心したことは、両親の死や、姉と別れた生活が、彼に悪い影響を与えていない。少なくとも現在はそういうものが認められない、という点であった。幼ないころから、顔も躯からだもまるまるとしていたが、疱瘡ほうそうも麻疹はしかも軽く済んだそうだし、風邪で寝たこともないという。背丈は五尺六寸、骨太で肉付が逞たくましく、鉢のひらいた大きな坊主頭など、荒法師といった感じであった。
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