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五百の藤堂家を辞した年は、父忠兵衛の歿した年である。しかし奉公を罷やめた頃は、忠兵衛はまだ女むすめを呼び寄せるほどの病気をしてはいなかった。暇いとまを取ったのは、忠兵衛が女を旅に出すことを好まなかったためである。この年に藤堂高猷たかゆき夫妻は伊勢参宮をすることになっていて、五百は供の中うちに加えられていた。忠兵衛は高猷の江戸を立つに先さきだって、五百を家に還かえらしめたのである。
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