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留守居になってからの貞固は、毎朝まいちょう日の出いずると共に起きた。そして先ず厩うまやを見廻った。そこには愛馬浜風はまかぜが繋つないであった。友達がなぜそんなに馬を気に掛けるかというと、馬は生死しょうしを共にするものだからと、貞固は答えた。厩から帰ると、盥嗽かんそうして仏壇の前に坐した。そして木魚もくぎょを敲たたいて誦経じゅきょうした。この間は家人を戒めて何の用事をも取り次がしめなかった。来客もそのまま待たせられることになっていた。誦経が畢おわって、髪を結わせた。それから朝餉あさげの饌ぜんに向った。饌には必ず酒を設けさせた。朝といえども省かない。※(「肴+殳」、第4水準2-78-4)さかなには選嫌えりぎらいをしなかったが、のだ平へいの蒲鉾かまぼこを嗜たしんで、闕かかさずに出させた。これは贅沢品ぜいたくひんで、鰻うなぎの丼どんぶりが二百文、天麩羅蕎麦てんぷらそばが三十二文、盛掛もりかけが十六文するとき、一板ひといた二分二朱であった。
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